その人は演歌が嫌いな老人。
その人はロックが好きな老人。
夜の誰もいない観光地駐車場や山の道に停めた車のドアを開放して、Guns and RosesやAerosmithをカーステから大音量で流して踊る若者に混じって一緒に汗まみれで踊り続ける人。
その人は60を超えてから富士山登頂を達成。
その人は60を超えてから伴侶とジープで北海道から九州まで走破しつつ登山を達成。
ジープは彼らの象徴だった。
その人はコミュニケーションに強い女性。
その人は仕事で成果を出し続けた女性。
誰の懐にもずずっと入る話し方でいながら不思議な距離感を保ち続け、営業ノルマ達成の棒グラフは一人だけ毎月紙を突き破っていた。
その人はリスクへのチャレンジに強い女性。
その人は不動産に強い女性。
先見の明で買った別荘地の山小屋は30年間、一族の大切な集まりの場となった。
その人は大雑把な女性。
その人は剛毅な女性。
かぶれの木に何度触っても蜂に何度刺されてもびくともせず山へ分け入った。
その人はザ・もったいない星人。
その人はザ・大正生まれ。
鼻をかんだティッシュを捨てず何度も乾かしたりたたんだりしながら延々と使い続け、食後の飯椀にそそぐ緑茶は色がついている程度のごく薄い味の煎れ方だった。
その人は体の柔らかい老人。
その人は強靭な体力の老人。
お風呂場で毎朝柔軟体操をしていて開脚は180度近く、60過ぎてから自転車に乗り始めマスターした人。
情が深く、美しく、かわいらしく、頭がよく、適当で、時々口が悪くてすごく変な女性。
今日、18時過ぎ、祖母が亡くなりました。
たくさんたくさんの思い出と共に。
ありがとう。やっと願いが叶いましたね・・・。
穂高で、また会おうね。




















