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東京スナップ 第159回 台湾人生

11:07:19 pm on 2009/07/23 | 4 |
  • ポレポレ東中野で台湾人生という映画を観てきました。

    日本が統治していた50年の間に台湾に生まれ、日本国民として育ち、敗戦後に中国国民になった世代の5人の方へのインタビュー映画です。

    皆さんとても明るく強く見える方で、でも・・・とても言葉にはしきれない複雑な過去と思いを抱えた彼らの話を、よくこんなに聞くことができたなあ、よくぞ映画にしてくださったなあという思いで見終わった後いっぱいになりました。

    長年心に引っかかっていた、「本当のところどういう気持ちだったんだろう、彼らは・・・」という想いにもやっと手応えのある糸口をもらった感じでした。それは台湾の方のみならず、世界中にちらばる日本と関わりのある方々全てに関する想いでした。

    ハワイで出会った日系人のおじいさんが「戦争では心からアメリカのためにと、アメリカ人として戦ったのに、日系人だからということで後に収容所へ入れられた、悔しかった」と話していたことの真意・・・。

    台湾の歴史博物館で拙い英語力で一生懸命読んだ英文説明にあった、日清戦争後に割譲された台湾が日本統治下となり、最初は抗日運動が激しかったのに戦後大陸から同胞が来てみればはるかに弾圧が厳しくて日本時代よりずっとひどい状況になった(らしい)ということの真意・・・。

    映画の中で彼らは「なぜ日本政府は私達を捨てたか」と言いました。

    日本人としての修身や教養の文化を与え、言語を学ばせ、皇国の民としての誇りを胸に育てさせ、天皇のためにこの命を散らそうと本気で思い一緒に戦争を闘ってきた自分達を、日中国交復活と同時に切り捨てた戦後の日本政府。なぜ台湾の日本兵士に一言「国のために皆さんもありがとう」と言ってくれない、と辛い苦しい想いを吐露されていました。

    一方で、自分は今でも日本人だと思っています、自分は古い日本の男です、中国人だとは思っていません、と言う、受けた教育は忘れない、と言う・・・。

    台湾は独立問題でずっと揺れていますね。

    その切実さが今度の映画でより深く現実味を持って迫ってくると感じました。

    いろいろな考え方の人がいるのでしょうが、私が出会った台湾人(外国に住んでいる人含めて)は皆、台湾は中国と違う国であると言いました。また中国人(出会った台湾人より更に少ないけど)は、台湾は中国の一部であると言いました。

    この問題は異なる意見が寄り添う日が来るのか・・・世界中で起こっている問題でもあるけど、台湾の歴史には日本にも大きな責任があると思うから、とても近いこの隣人にもっと関心を持ち、耳を傾けたいと心から思いました。それは自分の国の歴史や政治を改めて眺める、考えるということにも繋がります。沖縄、八重山、アイヌ、同和問題・・・また今日も思いました、「日本人」という概念の強烈な曖昧さと普段気づかないで使っている無神経さを。無知って本当に切ない。

    この映画に出てくる5人の方の美しい考え方、美しい日本語に触れるたび、なぜだかわからないけどずっと涙が流れました。

    こんな日本人が現代の日本にどのくらいいるのかな・・・会社で上司だった70代の方々、あの人たち以降一人も私は会ったことがないなあ、と思いました。最後の、そういう、世代。曖昧な表現だけど・・・。

    偶然ですがこの映画を観終わった後に、カフェで監督さんとお会いしました。

    あまりに良い映画だったことを伝えたくて思わず話しかけてしまい、後で自分勝手な行動だったと省みたけど、彼女は立って静かに私の話を聞いてくださったので、ああ多分こんな風に耳を傾け続けて彼らの素晴らしい話をフィルムに収めることができたんじゃないかなあ、と思いました。

    映画なのに、終わった瞬間小さな館内に拍手が広がって、映画の力にびっくりしました。

    台湾人生:http://www.taiwan-jinsei.com/



     

コメント

  • etsukoさんのダンナ 14:52 on 2009/07/26 | #

    つい最近、台湾の戦略的位置に関する記事を読んだところです。

    かつての帝国日本からも、現在のアメリカや中国からも、地理的に重要な位置にあるらしいので、侵略の歴史になってしまったようです。

    戦略的に重要な位置だとしても、住んでいる人たちにとっては、本当にはた迷惑な話だと思います。

    一昨年は、台湾の人たちがカスタマーだったのですが、皆さん本当に控えめで良い人たちばかりだったので、仕事はとてもやりやすかったです。
    残念ながら、不景気のあおりを受けて、そのプロジェクトは中止になってしまったのですが・・・

  • etsuko 15:12 on 2009/07/27 | #

    戦争、あるいは歴史って、とても政治的。そしてもちろん感情的になるし、真実はわかりにくい。だからそれを経験した人が、一人の歴史の一部を自分の言葉でしっかり語ってくれるのを聞くのって、貴重だと思う。どこまで受け止められるか正直わからないけど、小さい1人の人間として、何か今できることで役立てたらいい、と思っています。日本、中国、ベトナム、タイで太平洋戦争に関する博物館に行きましたが、台湾の話を聞いて、まだまだ勉強しなきゃいけないことがたくさんあるな、って感じました。

    良い映画をシェアしてくれてありがとう。この映画、見たいです。

  • shige 10:21 on 2009/07/28 | #

    終わった後、館内で拍手ってのがすごい。良い映画を見たのですね。

    戦争と歴史、特に近代史は、記憶が新しくて、利害関係者が存在してる分難しくて、勉強不足の俺には何も言えないけど。
    加害者と被害者、両方に言い分はあるしなあ・・・

  • kiko 23:44 on 2009/07/28 | #

    重要な位置・・・そうなんだ。
    でも本当に住んでいる人たちからしてみれば「なんだよそれ!」ですよね。
    一番大変なのは、いわゆる原住民族の方々だったと思います。
    この映画にも一人出てこられるけど、本音は「漢民族系台湾人にも本当は四の五の言わせたくないぞ」というところがあるかもしれません。

    そう、台湾の人たちって、台湾人自身も言っていたけど控えめで「良い人たち」ですよね。
    台湾人の子が「香港人の友達もいるから香港人だって好きだけど、でも香港人の方が押しが強い」と言っていたのが印象的でした。同じ漢民族、とひとくくりにはやはりできないみたい。
    ダンナさん、プロジェクト残念でしたね・・・。

    etsukoさん、本当に真実って分かりにくいですよね。政治的なことは特に・・・だからNHKだって新聞だって別に「真実」ではないといつも思う。ただの一つの見方、意見。
    だから一人一人の語る「歴史の事実」も、それらと同じくらい重要だし聞きたいと思っています。
    やたらに新聞を信じている人たちに私はどうしても恐怖心を感じてしまう・・・。
    真実は自分の中にある、これに尽きると思います。
    いろいろなことを知ったり考えたりする機会としてとても良い映画だと思います。
    ぜひetsukoさんには見てほしいなあ。

    終わった後、館内で拍手ってすごいですよね。
    なんだか「思わず」な感じの雰囲気がとても微笑ましかったです。
    私もまだ全くの勉強不足、蒋介石の人生(特に政治?)には奥さんの宋美齢の存在がかなり大きかったみたいだし、台湾の中にもいろいろな考え方の派閥があるはず。
    沖縄と共にとても知っていきたい歴史です。

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